「星に願いを!」と意気込んで、ベランダに立派な笹を飾ろうとしているそこのあなた。
ちょっと待ってください。その笹、もしかすると織姫と彦星が出会う前に、ご近所や管理会社との間に「深い天の川(溝)」を作ってしまうかもしれません。
賃貸住宅には、一戸建てとは違う「共同生活のルール」があります。今回は、管理会社の視点から、賃貸で七夕をスマートに楽しむための鉄則をお伝えします。
七夕飾りをベランダに出す前に確認してほしいこと
賃貸のベランダは「共用部分」です。廊下や階段と同じ扱いと聞いて、驚く方も多いのではないでしょうか。入居者の方には「専用に使う権利」はありますが、自由に何でもしていい場所ではありません。七夕飾りを楽しむ前に、まずここをしっかり押さえておきましょう。
避難経路だけは絶対に塞がないで
笹を飾るとき、ついきれいに見える位置を気にしてしまいがちですが、ベランダで一番大切なのは避難経路の確保です。
| 隣のお部屋との境にある仕切り板(蹴破り戸)や、床に設置された避難ハッチ。これらを笹や飾りで塞いでしまうのは絶対にNGです。 |
「まさかそんなこと……」と思われるかもしれませんが、火災は突然やってきます。いざというとき、その笹が自分や家族、他の住人の命取りになりかねません。まずは非常時の避難に差し支えない場所か確認してください。
「外から見てどう見えるか」も意外と大事
物件によっては、管理規約に「手すりより高い位置に物を出さない」と明記されているケースもあります。背の高い笹をベランダに立てると、外から見たときに建物全体の景観を損ねてしまうことも。
管理会社としても、楽しい七夕イベントを過ごしていただくため、できれば「ちょっとよろしいですか」とお声がけしたくはないのが本音です。事前に契約書や管理規約を一度確認しておくと、安心して飾れますよ。
七夕飾りが隣人トラブルを招かないために
「七夕飾り、案外簡単に飾れたなぁ」と思っていると、思わぬトラブルの元になることがあります。
「置くだけ」設置は本当に危険です
バケツに砂や石を入れて笹を立てる、いわゆる「置くだけ」設置。見た目はしっかりしていても、突風の前では意外と無力です。笹が倒れたり飛ばされたりして、階下に停めてある車を傷つけたり、最悪の場合は通行人に当たってしまったりするリスクがあります。
「そんな大げさな」と思われるかもしれませんが、その損害賠償は、残念ながら星に願っても消えてはくれません。
外に設置するなら、物干し竿の支柱など動かない場所にひもで何重にも固定するのが賃貸での七夕飾りの鉄則です。
葉っぱと短冊が「お隣トラブル」の火種に
笹自体は飛ばなくても、油断は禁物です。笹の葉が枯れてきて下に落ちれば、少しの風でひらひらと舞い上がります。隣や階下のベランダに葉が入り込んだり、洗濯物についてしまったりすることもあります。
短冊も同様です。水引きや細いひもで結んだ短冊が外れ、見知らぬお部屋のベランダに誰かの願い事が降ってきた……なんて、困惑させてしまうことも。短冊をひもで付ける場合は、できるだけ緩まないように結び、定期的に確認して緩んでいたら結び直すようにしましょう。
ベランダが排水されない天の川になる前に
笹や短冊のトラブルは、よそへの飛散だけではありません。足元に静かに問題が積み重なっていることがあります。意外と見落とされがちなのが、排水口まわりのトラブルです。
笹の葉は枯れて乾燥するにつれてポロポロと落ちていきます。落ちた葉や、雨でふやけた短冊の紙が排水口に積もると、水が流れなくなり詰まってしまいます。
大雨の日にベランダに水が溜まり、気づけば室内へ浸水したり、さらには階下への漏水事故につながるケースもあります。排水口の詰まりが長期間続くと、ベランダの床材が腐食してしまうことがあります。
こうなると、退去時のクリーニング費用や修繕費用として、思わぬ出費につながることも。敷金で賄えればまだいいですが、場合によっては追加請求になるケースもゼロではありません。
七夕飾りをベランダに飾ったあとは、飾りっぱなしにせず、排水口まわりに笹の葉や短冊が詰まっていないかチェックしてください。
管理会社が教える「スマートな七夕」代用案
ここまで読んで「なんだか七夕を楽しむのも一苦労だな……」と感じた方もいるかもしれません。でも大丈夫です。最近は、賃貸でも気軽に、そしておしゃれに七夕気分を楽しめる方法があります。
室内で七夕飾りを楽しむ
室内に飾れば、笹が飛ばされてしまったり、葉や短冊が舞う心配もありません。雨で願い事を書いた短冊が飛ばされる心配もありません。
窓際に飾るのもいいですし、玄関の傘立てに笹を立てるだけならもっと手軽に七夕飾りを楽しめます。笹の葉が落ちるのが気になる場合は、レジャーシートを敷いておくと、後片付けもラクに済みます。
室内での七夕飾りなら、家族が書いた願い事をいつでも見られるうえ、会話もはずむかもしれません。
ウォールステッカーで七夕飾り
七夕モチーフのウォールステッカーを使うのも、七夕まつりを楽しむ一つの手です。
貼って剥がすだけで部屋が一気に七夕ムードになりますし、笹の葉が部屋に落ちることもありません。ただし、ウォールステッカーを貼りっぱなしにすると跡が残ってしまうことがあるため、七夕イベントが終わったらすぐに剥がすようにしましょう。
まとめ:ルールを守って、最高の七夕を!
賃貸であっても七夕飾りを楽しむことはできます。しかし、七夕飾りを共有部分であるベランダに出すとなると気をつけなければいけないポイントがでてきます。
| 避難経路を塞いでいないか、固定はしっかりできているか、落ち葉や短冊が近隣に迷惑をかけていないか。この三つを意識するだけでも、トラブルのリスクはぐっと下がります。 |
「そう言われても不安…」という方は室内で七夕飾りやウォールステッカーで雰囲気を楽しむのがおすすめです。
ルールを守って飾られた笹なら、織姫も彦星も、そしてご近所や管理会社も、きっと温かく見守ってくれるはずです。皆さんの願い事が、無事に天まで届きますように!




